種子エキスの作り方│かりん・柚子の違いと、失敗しない抽出方法
2025.12.05 13:35
かりんや柚子の種を使った「手作り種子エキス(チンキ)」の作り方をまとめました。腐らない抽出方法や、種の特徴の違い、化粧水への応用まで詳しく解説しています。
冬の手作りスキンケアといえば「かりんの種」や「柚子の種」を使った“チンキ作り”。
昔から家庭で作られてきた、やさしい基礎美容のひとつです。
しかし実際に作ってみると、
とろみが思ったより出ない
逆に固まりすぎる
数日で腐ってしまう
種によって違いが大きい
など、失敗しやすいポイントもあります。
この記事では、昔ながらの“種チンキ”を安定して作る方法と、かりん・柚子それぞれの違い をわかりやすくまとめました。
これを知っておくだけで、手作り化粧水・ジェルなど応用が一気に広がります。
Q1.なぜ“種”は保湿に使われてきたの?
種には、植物が芽吹くために必要な成分がぎゅっと詰まっています。
その中でもスキンケアに役立つのは
多糖類(とろみ・保水膜のもと)
ペクチン(柔らかい皮膜をつくる)
フラボノイド(抗酸化)
特に“とろみの素”である多糖類は、グリセリンを使わずに自然な保湿膜をつくるため、べたつかず使いやすいのが特徴です。

🌿かりんと柚子の種子の特徴違いは?
【かりんの種子】
多糖類 と ペクチン が圧倒的に多い → 強いとろみ・保湿膜
収れんはやや強め(皮膚を引き締める)
香りはほぼ無いが、ほのかにかりんの香り
→ “冬の濃密うるおい系” に向く。
【 柚子の種子】
多糖類もあるが、かりんより軽いとろみ
リモノイド(抗炎症・抗酸化)が多い
フラボノイド(ヘスペリジン)が豊富 → 透明感UP
微かに柑橘の香り
→ “敏感肌・ゆらぎ肌・男性・夏場” に最適。
種 | とろみ | 香り | 仕上がり | 保湿 | 向き |
|---|---|---|---|---|---|
かりん | 強いとろみ | かりんの香り | しっとり膜 | 高い | 乾燥肌・冬 |
柚子 | 軽いとろみ | 柔らかい柑橘 | さらっと膜 | 中 | 敏感・男性・初夏〜秋 |
かりん=こっくり保湿、柚子=軽めのしっとりというイメージで選ぶと使いやすいです。
Q2.アルコールで抽出するには何を使えばいいの?
種やハーブをアルコールで抽出するとき、使うアルコールの濃度によって溶け出す成分が変わります。まずは、一般的に家庭で手に入りやすいアルコールを一覧にしてみます。
🌿よく使われるアルコールの種類と濃度
無水エタノール(95%)
消毒用エタノール(76.9〜81.4%)
パストリーゼ(77%)
ウォッカ(40%)
ホワイトリカー(35%)
この中で 最も扱いやすく、失敗しにくいのが「ウォッカ(約40%)」 です。
理由は、
多糖類(とろみ成分)は水に溶けやすい
フラボノイド・リモノイド(抗酸化・抗炎症成分)はアルコールに溶けやすい
この両方の抽出バランスがよい濃度だからです。
🌿ARIRIAでの成分比較表(低濃度アルコール抽出時)
※ウォッカ(約40%)など、家庭で扱いやすい“低濃度アルコール”を使用した場合の成分の抽出傾向です。
成分分類 | かりん種子(Quince) | 柚子種子(Yuzu) | 抽出されやすさ |
|---|---|---|---|
多糖類(ムチン様物質) | ◎ 非常に多い(濃いとろみ) | ○ 中程度(軽いとろみ) | 水 > 低濃度アルコール |
ペクチン | ◎ 豊富(ゲル化しやすい) | △ やや少なめ | 水 > 低濃度アルコール |
リモノイド(苦味・抗炎症) | △ 少ない | ◎ 豊富(リモニン、ノミリン等) | アルコール(低〜中濃度) |
フラボノイド(抗酸化) | ○(微量) | ◎(ヘスペリジン等) | アルコールが最適 |
揮発性香気成分 | △ ほぼ無香 | ○ 微香(柑橘の痕跡) | 高濃度アルコール |
脂質(微量) | △ ごく少ない | ○ 種皮に少し含む | アルコール |
タンニン(渋味・収れん) | ○ やや多い | △ 少ない | アルコール |
Q3.種子エキスが失敗しやすい理由(水で腐る原因とは?)
水だけで抽出すると、どうしても傷みやすく、数日で変質してしまうことがあります。その主な理由は次のとおりです。
多糖類(とろみ成分)は微生物の大好物
とろみをつくる多糖類は、雑菌にとって“栄養源”になりやすいため、繁殖が早く進みます。種の表面に微生物が付着している
かりんや柚子の種には、目に見えない常在菌が通常ついています。水に入ると一気に活動が始まります。水そのものには防腐性がない
水だけでは菌の増殖を止められず、抽出液は急速に不安定になります。別に防腐が必要となります。温度が高いと発酵しやすい
暖房のある季節や室温が高い場所では、さらに発酵が進みやすくなります。
実践│種子エキスの作り方
昔からある基本的方法は「お酒に漬ける」という抽出方法。誰でも簡単にキッチンで作る事ができます。
🌿材料
かりん or 柚子の種 …… 10g
ウォッカ(アルコール度数 約40%) …… 20〜30mL
※ホワイトリカー(35%)でもOK小瓶(煮沸消毒したガラス容器)
※無水エタノールや消毒用エタノールは濃度が高く、希釈が必要になるため
手作りには扱いづらいです。“ウォッカを使う” のがいちばん簡単で失敗しにくいです。
🌿作り方
① 種を軽く洗い、完全に乾かす
水分が残ると腐敗の原因になります。表面が完全にカラッと乾くまで 置きます。
② 瓶に「種10g + ウォッカ20〜30mL」を入れる
20mL:さらっと軽い仕上がり
30mL:とろみがしっかり出やすい
③ ふたをして1〜2日おく
低濃度アルコールがゆっくりと
多糖類(とろみ成分)
フラボノイド(抗酸化)
リモノイド(抗炎症)
を引き出し、ほんのり琥珀色のとろみエキス ができあがります。
④ 必ず「漉す(こす)」
種の表面にある微粒子
タンニン(渋み成分)
繊維・カス
微生物の繁殖源
テクスチャーを乱す固形物
これらを完全に取り除くため、清潔なガーゼまたはコーヒーフィルターで漉し、清潔な小瓶に移し替えて完成!
出来上がったチンキの保存と注意

🌿保存方法
冷蔵庫等、直射日光があたらない冷暗所に保存し、約3〜4週間以内を目安に使い切ってください。
🌿注意
漉した後のエキスや、保存中に白い糸状・もや状・膜のようなものが浮いたり沈んだりしてきた場合、それは カビ(真菌) です。アルコール40%前後では殺菌力はありますが、以下の条件が揃うと微生物が増えることがあります。
種の表面の菌が多かった
乾燥が不十分だった
漉しが甘く“固形物”が残っていた
保存容器が不十分に消毒されていた
気温が高かった
アルコール濃度が低かった(35%など)
手の消毒を行わずに作業していた
白いもやが見えた場合は、迷わず廃棄してください。
出来上がった種子エキスの使いみち
🌿ナチュラルハンドジェル
出来上がった種子エキスは、自然のとろみがあるため、そのまま“ハンドジェル”として使えます。また、抽出に使ったアルコールが残るため「軽い殺菌・抗菌作用」 があります。
ベタつかず、薄い保湿膜が手肌を守ってくれるので、アルコール残量が気にならない方はそのままでもOKです。
アルコール濃度 | 殺菌能力の目安 |
|---|---|
70〜80% | 消毒(強い殺菌) 医療レベル |
40%程度 | 軽い殺菌・抗菌(雑菌の抑制) |
20%以下 | 消毒効果としては弱いが、多少の抗菌性はある |
“ナチュラルハンドジェル”として使えますが、消毒用アルコールのような強い殺菌力とは異なります。
🌿保湿化粧水
この種のチンキを使い、化粧水も作る事が出来ます。ただ、ARIRIA独特の方法があるため、次の記事で詳しく書いていきますね。
次の記事では家庭の蒸留器を使って、より手軽に作れる“冬の保湿化粧水”をご紹介しています。
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AKANE ABE
オーガニックセラピスト
福島県いわき市にて、26歳から、植物の力で肌本来の力を引き出すオーガニックエステに特化したサロンを運営しています。合成化学物質を一切使用せず、自然の恵みをたっぷり受けた植物調合施術で、心身ともにリラックスできる空間をご提供いたします。


