アンティークに出会うということ【第2話】 “好き”を選ぶ、小さな旅
2025.08.05 10:06
小さな旅をして集まったものたち
気がつけば、私のまわりにはいつの間にか「古いもの」が集まるようになっていました。
静かに佇むその姿は、まるで誰かの時間を旅してきたことを語っているようです。
たとえば、ロンドンでつくられた時計。
タバコの箱に忍ばせた花の刺繍。
遠い北欧の風土を映した磁器たち。
どれも、ただの“もの”ではなく、
時間や土地や記憶を運んでくれる、小さな物語のような存在です。
今日は、そんな「遠くからやってきた日用品たち」との出会いを、いくつか綴ってみたいと思います。
Roger Lascelles Clocks(ロジャー・ラスセルズ・クロックス)
それは、イギリス・ロンドンで1980年代に創業した Roger Lascelles Clocks の卓上クロック。
一見して時計とは気づかれないほど。
まるで紅茶のキャディに“時”をそっと封じ込めたような、不思議な魅力をたたえています。

このブランドの創業者、ロジャー・ラスセル氏は、
長年アンティークディーラーとして活動する中で、時代に埋もれていく繊細な時計の意匠を「今に再生」することを決意。
それが Roger Lascelles Clocks の始まりだったそうです。
時計とは思いにくい形状のため、お客様も時間を忘れてゆったりと過ごしていただけます。
蓋にはオルゴールも付いていて、さらに特別な存在になっています。
Cigarette Cards(シガレットカード)
シガレットカードの歴史と背景
シガレットカードは、19世紀後半から20世紀前半にかけて、タバコの箱の中に入れられていた“おまけ”のカード。
もともとはタバコの葉が潰れるのを防ぐための補強材として始まったと言われています。
私が持っているのは、1930年代イギリス・Kensitas製のもので、
なんとシルクの刺繍が施されています。
現在、サロンのトイレに飾っていますので、ぜひご覧になってくださいね。

🌼 植物の種類
左: "GLOBE FLOWER" (グローブ・フラワー/キンポウゲ科)
中央: "PYRETHRUM" (ピレスラム/キク科)
右: "RED HOT POKER"(レッド・ホット・ポーカー/トリトマ)
このシリーズには、ファーストシリーズ60種、セカンドシリーズ40種と、計100種類が存在するそうで、コレクターも多いとか。
私も数枚持っていますが、どんなふうに飾ろうか…いまも楽しく思案中です。
Eschenbach(エッシェンバッハ)の磁器
「Svenska Landskapsblommor(スウェーデン地方の花)」シリーズは、実は複数のメーカーから出ています。
スウェーデンのHackefors(ハッケフォッシュ)に似ていますが、こちらはドイツ・Eschenbach(エッシェンバッハ)製。
“Bavaria”と記載があることから、バイエルン地方(ドイツ語でBayern)のもので、1970年代、西ドイツ時代の製品と思われます。

🕊️ 創業:1913年
場所:バイエルン地方・ヴィンディシェッシェンバッハ
創業者:エドゥアルト・ハーバーレンダー
スウェーデンには25の地方(landskap)があり、それぞれに象徴の花があるのだそうです。
左から:
🌼 "Gullviva":カウスリップ(スウェーデン・ナルケ地方の花)
🌸 "Linnaea":リンネソウ(スウェーデン・スマランド地方の花)

「好き」を選ぶ、小さな旅
選ぶということは、時間を重ねるということ。
ひとつの物の背景を知り、
そこにある文化や、誰かの想いを辿るたびに
私の中にも、小さな“旅”が生まれます。
たとえそれがアンティークでなくても。
「好き」という気持ちさえあれば、
それはきっと、私の暮らしの一部になってくれる。
これからも、そんなふうに、ひとつひとつを丁寧に迎えていけたらと思います。
AKANE ABE
オーガニックセラピスト
福島県いわき市にて、26歳から、植物の力で肌本来の力を引き出すオーガニックエステに特化したサロンを運営しています。合成化学物質を一切使用せず、自然の恵みをたっぷり受けた植物調合施術で、心身ともにリラックスできる空間をご提供いたします。


