種まきの、そのあと
2026.03.05 01:38
春は、種まきの季節と言われます。
先日、コラムを掲載している - 月刊りぃ〜ど2月号でも「種まき」のお話を書きました。
新しいことを始めるとき、すぐに結果が出るわけではなく、土の中で静かに時間が流れていく。そんな話でした。
あれから少し経って、
ひとつ嬉しい出来事がありました。
海外のサイトに出していた書作品が、
初めて誰かのもとへ旅立ったのです。
大きなことではないかもしれません。
でも、あのとき蒔いた小さな種が、
見えないところでそっと発芽したような気がしました。
書は言葉でありながら、
言葉を超えて伝わるものがあります。
どこか遠い国で、
日本語を読めない人の部屋に、
書が静かに飾られる。
そう思うと、書の世界はとても不思議で、
そして嬉しいものだと感じます。
種まきは、すぐに花が咲くとは限りませんが、
土の中では確かに何かが動いている。
私はどちらかというと、過集中タイプです。
一度書き始めると、つい時間を忘れてしまいます。
気がつけば何時間も経っていて、
「あ、もうこんな時間」と慌てることもよくあります。
最近、そんなふうに書き続けていて、ひとつ気づいたことがあります。
書を何時間も書いたあとの、
「あたまが軽い」という感覚です。
体はちゃんと疲れているのに、
頭の中だけはすっと静かになっている。
余計なことをあれこれ考えていたはずなのに、
墨と筆に向き合っているうちに、
いつの間にか消えているのです。
だからなのか、
「今日は少しだけ書こう」と思っていても、
結局また机に向かってしまう。
書くことは、作品づくりでもあるけれど、
私にとっては、心の中を整える時間でもあるのだと思います。
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茜華(SENKA)
書道講師
福島県生まれ。7歳から書道を学び、書道師範を取得。これまでに産経国際書展にて秀作入選を果たし、古典書道を主に学んできました。しかし、文字の美しさだけでなく、「書を通じて心を整える」という在り方に惹かれるようになりました。


