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BLOGエシカル書道教室2022.04.25
循環型の「エシカル書道教室」を開こうと思った理由
101「6年間10人で6万枚」10人の生徒さんが1週間20枚書きそれを6年間続けた結果廃棄となる反古紙(ほごし)の枚数膠を使用した墨が付いた紙は禁忌品となりリサイクル出来ず廃棄となります。
~何かおかしい~
手漉きの和紙を作るのには原料の楮やミツマタそしてトロロアオイの「根」からつくられるネリが必要になります。農林水産省の情報では楮やミツマタの生産量は徐々に増えています。しかしトロロアオイは作付面積も減少農家さんの高齢化そして炎天下の過酷な労働とは割りに合わない低賃金により廃業が続いています。トロロアオイは粘性がありこの粘りで楮等の繊維を纏めます。部位としては、根を使いますが農薬にも弱く除草剤も使えず連作にも弱い。また、収穫量も不安定で作付けの土地を選びます。根が真っすぐ伸びる様しっかりとした深さも必要です。根の部分を太くするために新芽を摘み取る「芽かき」「葉かき」「摘芯」「摘蕾」等夏の炎天下に出てくる芽を何度も何度も手作業で潰す過酷な作業です。勿論、農薬も除草剤も使えない為手作業で炎天下の除草を繰り返し行います。書道を7歳からはじめた私ですが当時の半紙の値段は20枚で50円しかし今同じ位の書きやすさや厚みを持った半紙を買うと150円程します。しかも輸入品でです。条幅(大き目の出品用の紙)等は100枚で4000円程だったものが今や倍以上の価格に。質が落ち、値段が上がるなのに手に入るのは輸入ばかり。つまり上質な国産和紙の要の生産農家さんは減っている何かがおかしいと思いませんか?
~世界無形文化遺産~
2014年に手漉き和紙はユネスコ無形文化遺産書道は2021年に登録無形文化財となりました。書道には「文房四宝」(ぶんぼうしほう)と称される筆、墨、硯、紙があります。しかし、この文房四宝にも色々な事が絡んできます。「筆」筆は動物の毛ですが中国からの輸入が99%しかし動物愛護の観点筆を作る道具職人筆に使われる原毛後継者不足と筆の伝統も難題が山積みです。毛に関しては「人工毛」の開発駆除や食用によって得られる動物毛様々な取り組みが始められています。「墨」「煤」と「膠」を使った墨は寒さ厳しい冬の期間作られます。(暑いと膠が腐ってしまうから)なので膠入りの墨を使いかけだからと真夏に放置すると腐ってしまいます。逆に固形墨を室温18度以下にすると固まってしまいます。そして何よりも磨る時間。均一に磨るには時間がかかります。それ故に、固形墨より液体の墨汁使用が多くなり製造に半年ほどかかる伝統ある固形墨は減少しています。単純に水洗いで落ちにくい墨汁によって筆も痛みます。「硯」職人さんの高齢化軽いプラスチックへの転換書道人口の激減小学校での書道の減少と様々な要因がありますが硯でなければ固形墨は磨れませんかといって、書道人口が早急に増える事もなく色々な形(コースター等)に形を変えて普及が始まっています。「紙」無形文化遺産に登録されたといっても石州半紙、本美濃紙、細川紙この3つになります。全て国産楮を使用した和紙です。石州和紙と細川和紙は地元楮らしいのですが本美濃紙は茨城県の那須楮大子町と常陸大宮市で作られる最高級品の那須楮小久慈硯と小久慈黒硯という硯もありますが職人さんは高齢化で1人とても入手が難しいらしいです。
~やらなかった理由~
「美文字」や「書道の書き方」はどこの教室でも行っています。最初はそれでも良いのかな?と思いましたがPCベースから紙ベースに戻る事は紙の資源枯渇からして難しい。なにせ10人の生徒が6年間で廃棄するのは6万枚です。20人になれば12万枚30人になれば18万枚ひとえに書道の先生をやりたい!そう思っても長年踏み切れない部分があったのはそういった背景がありました。一人5000円の月謝×10人5万円だとします。アルバイトならありですがそれでは生活が出来ませんよね?すると先生としては最低50人つまり25万円で最初の目標生徒数が50人になる訳です。すると6年間の反古紙はなんと、30万枚です。そういった事実を考えた時安易に教室を開こうと思えませんでした。
~それぞれを大切にする~
最初に覚えるのは筆の持ち方使い方だったら水書き書道でよいのでは?そう思う様になりました。何度も何度も捨てながらの練習ではなく繰り返し使える水書き書道筆の使い方文字の筆順文字の配置廃棄するだけの紙でなくても良いのでは?全員が全員、四房文宝が最初から必要な訳ではないと思うのです。紙・筆・墨・の相性や作品との相性等は大きな作品を展覧会に出す様になってからでも遅くはないと思います。目標は「文字をキレイに書きたい」ですから。その付帯効果として「墨の香りでの充足感」だったり「手漉き和紙の手触り感」だったり集中し没頭することでの気持ちの開放だったりする訳です。ある程度納得するまでは水書き書道で練習し作品には心を込めて伝統ある本物に没頭する。それが私の考えるエシカル書道教室です。
~級や段の必要性~
よくある級や段は数多の数ある書道団体での認定となっているので20年以上やっていても師範になれない所もあれば2年程でとれてしまう所まで実に様々です。実際、書道の先生になるには資格は不要というのが本当の所です。やろうと思えば誰でもなれます。実際子供の部で一番上まで段位を取得するとします。しかし中学生や高校生になって大人の部になると新たに大人の部として最初からスタートという事がよくあります。つまり子供の部と大人の部では全く力量が異なる事と判定基準が変わります。引っ越し等で所属団体を変えると編入試験(多くは段位)があり団体によって見方も変わります。昇級試験も、昇段試験も競書も競ってうまくなるぞ!がんばるぞ!という事には良いと思うのですが勿論無料ではありません。子供のうちから段位をとってもどの道、大人の部に入ると最初からなのに?そんな疑問を抱くので競書誌や段級については今のところ考えておりません。履歴書に書けるのは文部省の「毛筆書写技能検定」「硬筆書写技能検定」書道の教員免許のみですから。大人の部以上になってから「どの競書で学ぼうか?」と様々な競書誌で学んでも良いわけです。通信で全国の無数の競書誌から好きな競書誌で学べます。
~地域の伝統と繋がる~
3か月に一度「手漉き和紙」を自分たちで漉きます。何の植物から和紙が出来るのか?実体験する訳ですがこの知る作業という工程が大切だと思います。例えば「魚は切り身で泳いでいる」と思う子供がいる程何から作られるのかを知らない現状。和紙は何から作られるのか?知る事によって愛着も持ちますし大切に使います。なかには、自分で楮を育てよう!そう思う方も出るかもしれません。書く事よりも紙漉きを仕事にしよう!そう思う方も出るかもしれません。遠く離れた中国の古い古典も基礎には大切ですがそれよりずっと「何からできるのか?」「どうやって作られるのか?」を大切にしていきたいです。
~作品には本物を~
普段は水書き書道として作品には本物を。固形墨を硯でする(墨の香りでのリラクゼーション)↓自分で漉いた和紙に作品を書く(集中と作品への愛情)これだけでも通常の書道教室では行いません。「大量生産の半紙に墨汁で書く」「大量に出た反古紙は捨てる」これが現状です。この「作品づくり」は本物という事によって良い筆も長く使える練習段階で摩耗しないので良い筆も長く使えます。良い墨も長く使える固形墨は磨り方によって淡くも濃くも使えます。磨る時間は精神統一の様に心穏やかになり時間の流れが緩やかに。※希望によりオンライン墨つくり体験を実施作り手や出来上がるまでを知らないままただただ書くだけの書道から作り手の見える学びのある書道へ。101101
ARIRIA
〒971-8189
福島県いわき市泉滝尻二丁目8番地3
TEL:070-7545-4210
営業時間:9:30-17:30
定休日:土日祝、その他講習等でお休み
お支払い方法:現金、クレジットカード
(VISA、MasterCard、JCB、アメリカン・エキスプレス、ダイナースクラブ)
PayPay、RPay、d払い、オンラインプリカ
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